96歳の特別養護老人ホームに入所している男性。
「お姉ちゃんが名古屋にいるが病院に入院した。死ぬまでにもう一度お姉ちゃんに会いたい」と希望を言われた。
本人にとってお姉さんは、兄弟の面倒や家を支える為に一番苦労をしてくれた大切な存在であった事を教えてくれた。
家族に聞いてみると「連れて行ってあげたいけど、本人は車イスで私だけでは無理」と言う返事だった。
本人を担当している介護士は家族に「一緒に行きましょう」と提案すると、本人も家族も大喜びだった。
次の日から緻密な計画作成が始まった。車での経路、休憩場所、泊まるホテル、トイレ等・・・。
トラブルなくお姉さんの入院先の病院に到着。久しぶりの感動の再会にお互いが涙を流した。
面会後、お姉さんより「今度は私が大阪に会いに行くわ」と言われ再会の約束をして別れた。
家族も本人と観光し楽しい時間を過ごす事が出来た。
本人は二ヵ月後、お姉さんに会ってホッとしたのか、老衰で亡くなられた。
葬儀の場で家族から「あの時、本人の希望をかなえる事ができたので思い残す事は一切ない。あなた(介護士)には感謝しかありません」と言われた。
介護士にとって「この仕事をこれからもやっていきたい」という覚悟を持った体験になった。